天使が消えた跡は

先生の話を聞き終え、帰り支度を始める薫。

「ねえ薫ちゃん、もう王子様のところに行くんでしょう? どうやって行くの?」

 クラスの女子から質問されたので、ルーが連れて行ってくれると言う話だと伝えた。

 きっと空を飛んでいくのだろう。だとしてもかなりの距離があるはずだから、今日発ったとしても何日もかかるのではないかとは思っていた。



 寮に着いて少しの間休むと、ルークがそろそろ行くかと言い出した。

「薫ちゃん、食べるものちょっとだけ持った方がいいよ」

 というルー。

「ちょっとでいいの? だって遠いんでしょ?」

 そう返事を返す薫に、ルークとルーは『ちょっとでいい』と何度も言う。

 ルークのほうは『絶叫マシーンは好きか?』なんてことを聞いてくる。

 絶叫マシーンは嫌いではないが、なんとなく覚悟を決めないといけないような予感がしていた薫だった。



「きゃああああああ!! ちょっとおお!!」

 空の風に薫の声がかき消される。

 実際の時速は全く分からないが、時速1200キロはあるんじゃないかと一人で考え込む薫。

 もちろん1200キロがどのくらいの早坂なんてものは知らない。

 しばらく飛ぶと疲れたのか、慣れてきたのか、薫の声を聞かなくなった。

 途中、空腹を訴えると、持って来ていた食料でお腹を満たして再び飛び立つ。

 いっぺんにある程度のものを食べると、風圧でお腹がやられてしまう。だから食料はちょっとでよかったのだ。

 何度か空腹を満たし、約半日で王子様の住む島までたどり着いた。

 薫が降り立ったのは、宮殿のような大きな建物の入り口。日本と違い寒さが堪える。

 早速中に案内してもらい、温かい室内で休息を取らせてもらった。
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