ウチの居候ヴァンパイアくん。
アキラは上目遣いで由里を見ると、そのまま何も言わずに肘の裏側をペロリと舐めた。
「…ん」
くすぐったくて由里の口から思わず声が漏れる。
アキラは黙ったまま、何度か同じところを舐めると「…由里さん、いい?」と上目遣いで尋ねた。
「…ん。いいよ」と由里が答えると、アキラはさっきまで舐めていたところに八重歯を優しく押し付けた。
チクリ、とした感覚の後に、アキラが口元を少し離すと、血がじんわり滲んできている箇所が見えた。
アキラは再び、同じところに唇を当て、チュッと吸い上げた。
由里は、声が出そうになるのを堪えるために空いた方の手で口元を押さえながら、吸血が終わるのを待った。
時折、アキラの喉が唾を飲み込む時のように小さく鳴る音が部屋の中で静かに響く。
献血や予防接種、採血等、針の刺さる痛さにおいては、特に嫌だと思ったことがない由里。
なんなら、こうやってアキラが血を吸うために八重歯を差して血を飲む時は、病院で針を刺される時よりも、痛みは小さいと感じている。
むしろ、アキラが吸血する時様子は、何度見ても神秘的なもののように思えた。