ヴァンパイアガールズ
だけど私は,これくらいなれたもの。

適当な自虐ネタに,親しみやすい話題は時になによりも信憑性の高い,触れられずらいものと変わるのだ。

咄嗟についた1回の嘘に,助けられまくっている。

実はとても薄いその嘘の膜は,破ろうと思えば簡単に破れてしまう張りぼてなのに。

お腹が空くと言った一瞬の言葉で,美海のお腹がぐうと鳴った。



「美海……?」

「私も,あれお腹空くから嫌。折角食べた分の血液,返して欲しい。あ,なんかムカついてきた。先生の血,今までの分まで全部貰ってこよ」



先生を殺す気? と,美海の食欲を知っているハルが,チョップする。

切られたら,出血する。

出血したら,体内の血液が減って,折角の栄養もなくなる。

だから,お腹が空く。

実にヴァンパイアらしいサイクルだった。



「じゃあ,ハルがまたくれるの? 死んじゃうよ?」

「あげない,絶対やだ」

「外んとこ行こうと思うんだけど,お前らどうする?」

「あ,私……」

「「浅海が行くなら」」



考えてる途中で揃った声。

2人はお互いを見て,お前もかと特に拘らず私を見る。



「……どうせ暇だし,付き合うか」



外は多分,校舎と校舎の間の影のところのこと。

マイナー専用自販機の,ちょっと汚いゴミ箱だと思い出した。
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