ヴァンパイアガールズ

あそこにはペットボトル専用と,何故かよく分からない生ゴミ専用がある。

まるで生徒に進んで


『都合の悪いものはここへ』


と言ってるようなもの。

同じことを思う生徒が多いのか,完璧に家庭ごみ捨て場のようになっていた。

ほとんどが人間の排出したごみだろう。



「ああ,そう言えばこんなとこだったね」



馴染みのないハルや眠そうな美海は,もう終わった? と言わんばかりの表情。

帰ろうとしたところで,私はぴたりと足を止めた。

あれは……



「ねぇハル,あの人知ってる?」



人間のことをヴァンパイアに聞くのはどうかと思うけど,あれだけ目立つ人だから。

寧ろ食料関係で美海に聞けばよかったかなとも思う。

食べても別の用事でも,多分あの人はヴァンパイアにとって最上級の"楽しい"だと思った。

見た目よく,人間で,男。

私が目で示したのは,私の首を絞め,最後には匿った男。

そう言えば名前も知らないままだったから,見つけたついでに少しだけ気になったのだ。

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