幼なじみ、じゃない。



なんだかさっきの会話みたい、と笑うところじゃないのに込み上げてきてしまう。なんだか似た者同士だな、私たち。



「ーーー羽衣」


「ん?なあ、にーーー」



ぎゅっと強く抱き締められたとき、花火がドン、と大きな音を立てて打ち上げられた。



「ーーーへ」


「好き」


「……っもう、何回も聞いたよ…」


「まだ三回しか言ってない」



なぜか始まった「好き」の連呼に鼓動は速くなっていくばかりで、いたたまれなくて。



「っあ、そういえば高橋さんは……!?」


「……なんで、高橋?」



少し涼が不機嫌になってしまった。



「だって涼、高橋さんと付き合ってたんでしょ……?」


「は、なにそれ。俺が好きなのは羽衣だけだし」


「……っ。……じゃあ、あのキスは……っ?」


「……は?ほんとになにそれ?」



涼が今日一番ぽかんと間抜けな顔になった。その表情に私には疑問が積もっていく。



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