赤と黒に溶ける
どんなに見た目を着飾っても、佑くんにとっての私は、ちょっと手のかかる年下の従妹。
私を誘ってくれたのだって、ただ「毎年一緒に行ってるから」ってだけで。そこに特別な理由はなかったのかもしれない。
勝手に期待していた私は、ちょっとガッカリしながら、手のひらでヨーヨーを弾いた。
焼きそばの屋台に向かって一直線に歩いて行く佑くん。その背中を、ヨーヨーを弾きつつ、不貞腐れた顔で追いかける。
ゆっくりと歩く私と佑くんのあいだには、少しずつ距離ができていって。そのうち、私は佑くんの背中を見失ってしまった。
「もう、どこに行っちゃったのよ……」
浴衣着て、慣れない下駄で歩いてるのに。
私がちゃんと着いてきてるかどうかくらい、振り返って確かめてよ……。
ぷぅー、っと頬が膨らんで、私はますます不機嫌になる。