赤と黒に溶ける
佑くんのバカ。どこの店で焼きそば買ってんの……?
いつもよりも人の多い神社の参道。その両端にひしめくように建てられた屋台を、ひとつひとつ確認しながら進む。
そうしていると、右斜め前に『焼きそば』と書かれた黄色い屋根が見えてきて。その列に並ぶ佑くんがいた。
「やっと見つけた……」
佑くんを見つけてほっとしたけど、私のことなんてそっちのけで、焼きそばの屋台に並んでいる彼にちょっとムカつく。
とりあえず、私を置いてけぼりにした佑くんに、ひとことくらいは文句を言ってもいいかな。
佑くんのほうに向かって歩きながら、そんなことを思っていると……。
「佑じゃん! 来てたんだ」
私がそばに行くよりも先に、赤い牡丹柄の浴衣を着た女の子が佑くんに声をかけた。
背の小さい私と違って、その子は手足が長くて、顔も小さくて、スタイルがいい。
頑張って大人っぽく見えるようにメイクをした私と違って、その子はふつうにおとなっぽい。
佑くんと同じ高校生なのかな。