Galaxyな彼は、【完】
「行くなって」
「っ、!」
その瞬間、彗の顔がドアップに写って、
乱暴に押し付けられる唇。
それは理解する前に一瞬で離れて、
「っ、…ご、めん、」
理解した頃には、彗は混乱した顔をして私に謝罪をしていた。
ただ茫然とする。
何が起こったの…?
どうして…?こんなことするの?
「…これも練習?」
そうだ、こういうシーンがあったんだ。
きっと、そうなんだよね?
「ちがっ、」
「じゃあ…なんで、こんなことする?」
その質問に俯く彗。
「わかんねぇ…」
ほらね、
期待したって、意味がない。
いつもこうやって、期待ばっかりさせて…
「彗は…」
ああ、もうだめだ。
「彗は私がっ、彗のこと好きって分かっててこうことやってるの…っ?」
気持ちのリミッターに限界が来てしまって、口走った言葉。
溢れ出す涙が頬を伝う。
「え…?」
目をまん丸にしてる彗にハッとする。
やってしまった。
「…あ、これは…私、帰る!!!」
そこに置いてあったカバンを急いで取って、逃げるように彗の家を後にした。
「はぁ、もう最悪…」
震える手と、止まらない涙。
残るあの感触が、現実だったことを残酷に知らせる。
なんで、あんなこと言っちゃったんだろう。