Galaxyな彼は、【完】

「寂しい?」


信号待ち、こっちを見てやけに意地悪にそう聞いて来るから、少し考えて、


「うーん…そもそもほぼ家にいなかったもんね」


帰ってこない日だって、結構あったし。

でもレジュメとかそういうの渡しづらくなっちゃうな。今までならおばさんに渡したりできたけどそうは行かないもんね。


「そこは寂しいって言えよ」


つまんねぇ、ってちょっと拗ねてる。


「そんなこと言って寂しいのは彗なんじゃない?」


あんなに可愛い美月ちゃんに会えなくなるんだよ?


美月ちゃんだって彗のこと大好きなのに寂しがるだろうな。



「そりゃ寂しいだろ!海に会えなくなんだから。」



予想外の言葉にまた胸がなる。



「っ、え、そこ?」



落ち着け落ち着け。彗はそんなつもりは一切ないから。


冷静を装って。


逆にどこ?なんて、真剣な顔をして聞いてくるから、



「美月ちゃんに会えなくなるとかいっぱいあるでしょ。」




「あー、確かに。」



いやいやいや、考えないとわかんないわけ?


美月ちゃん悲しむよ。愛おしの妹でしょ?



「まあ近いし、いつでもこいよ」



「いつ行ってもいなさそうだね」


ツアーが終われば少しは落ち着くのかな。


何もできない彗が1人暮らしなんて、少し心配だけどね。



「そんなことないだろ。いつでも連絡しろよ」



会いてぇじゃん、ってくしゃっと笑う彗。


はあ…いちいち胸が鳴るんだから、勘弁してほしい。
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