Galaxyな彼は、【完】


「これ、渡そうと思ってたの忘れてた」


そう言って嬉しそうに笑う彗の手には、『Stella arena tour』と書かれている長方形の紙。



「これって…」



「ツアーのチケット、東京公演の」



「今まで一回も見に来てくれたことねぇじゃん?」


確かに、一度だって、アイドルである彗を生で見たことはない。



「でも、他に行きたい人はいっぱい…」


Stellaのコンサートチケットは、倍率が高くてチケットを取れない人もたくさんいるってよく聞く。


「来たい人はたくさんいるかもだけど、俺の来てほしい人は海なんだけど?」


「……」



その言葉に、喉が詰まる。


私は怖いんだ、アイドルである彗を見るのが。


だからずっと避け続けてる。



「俺がアイドルになったの海がきっかけなんだから。」



「え?」



その言葉に耳を疑う。

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