学校一のイケメンと噂の先輩は、優しい吸血鬼でした



それからまた、前のような普通の日々が続いた。

気まぐれで先輩が教室にやってくるけど、私も周りもそこそこ慣れてきている。


そんな日々の中で、私は先輩が女の人と仲良さそうにあの教室に入っていくのを目撃した。

初めて先輩と会ったあの教室。

ということはきっと今、先輩は女の人の血をいただいているところだろう。


以前目撃した時のように、女の人の腰を抱いて、首筋に牙を立てて。

相当体を密着させていたし、女の人のシャツは乱れていた。


先輩は私を好きと言いながら、他の人と体を密着させている。

もちろん生きるために必要なんだろうけど、それだったら私でもいいのに。

私の血は最初から吸ってくれようともしなかった。

そりゃあ先輩と関わった記憶が消えるのも嫌だけど、いつも違う女の人とふたりきりの空間で密着していることを考えると、それも嫌だ。

わがままだなぁ、自分。


それにこんなの、私いつの間にか先輩のこと好きになってたんだな……。


やだなぁ。例えば付き合えても、他の女の人の血を貰いに行くことになるのか。

記憶保持したまま吸血したりはできないのかな。


私が自主的に怪我して、その血をあげたりとか?

それか採血の要領でいけばいいんじゃない?

…でも痛いのは苦手だし、看護師でもないから採血とかできるわけないし。

それに新鮮な血液じゃないとダメとかありそうだし……。


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