【短編】Love Love Love……
 経験が、教える事実を振り払うように。

 ウルジュワーンは、アフダルの身体を地面に横たえると。

 自分の服を口で裂いて、彼の傷を抑え溢れる血を止めようとした。

 しかし。

 血は。

 片腕しかないウルジュワーンをあざ笑うかのように。

 あちこちからふき出し、流れてゆく。


「アフダル……アフダル!!」

 生きろ!

 目を覚ませ!!

 ウルジュワーンの血吐くような呼びかけにも。

 アフダルの目は、開く気配がなかった。

「ウルジュワーン!」

 少し遅れて、駆け寄ったマリーが、アフダルの手当てを手伝いながら叫んだ。

「アフダルが、突然、自分の胸を!」


「……そうか」


 このとき、ようやく。

 ウルジュワーンは、周囲を良く見ることができた。

 息絶えた、襲撃者。

 無傷なマリーと子どもたち…………

 それらを見て、ウルジュワーンは、すべてを理解した。

 

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