いつどこで誰が何をした


早めに終わらせよう。
午前中だ。時間に余裕があるわけじゃない。


「誰か協力してくれない?一人でいい」

これは僕だけじゃクリア不可能だ。
誰かをって付け足されてる。クソみたいなご都合で。

でももちろん、刺されるかもしれないクラスメイトは僕と目線を合わせないよう、気まずそうにしている。
しかし、その中でガタンと席を立つ音が聞こえる。


「俺が行くよ。ひかる」
祐樹…
「俺なら安心だろ?」
それは…そうだけど

「わ、私も、お役に立てるなら…」
え、久遠さん?
久遠さんがおずおずと立ち上がり、ゆっくり僕を見た。
「ひかるさんには助けられてばかりなので…少しくらい力になりたいです。それに誰も傷つけないってひかるさんが宣言したのなら本当にそうだと思うんです」
「久遠さん」

カタンとどこかで再び席を立つ音がする。
「…私もっ」
え、梅原?
「私が指名された時、ひかるくんは助けてくれたから…だから」
えぇ珍しい。そんなタイプじゃないのに。

「そう言われたら私も手を貸す義理はあるよ」
山野まで?
席は立たず、久遠さんの後ろから少し顔を傾けてこちらを覗き込んでいた山野。
「ひかるだけじゃないけど、昨日私が無事だったのはみんなのおかげだから。少しでも恩返しになるなら多少刺されるくらい構わないけど」
相変わらずクールにそう言う。

チラリと枕崎を見ると目を丸くして山野を見ていた。確かに梅原ほどじゃないけど意外だもんね。
でも…ちょっと女の子に頼むのは申し訳ない気もするな。


「いや、俺が行く」
と、頭を抱える僕の後方からの声。
またまたまさかの人物が席を立った。
「東坡?」
さらに意外な人物である。
「俺喧嘩で刺されたことあるし。多分多少なら平気」
いや、どんな喧嘩してたの。
「俺こいつとは中学からの仲なんだよ。お前らは知らないかもしれないけど、ひかるはちょっと頭飛んでるから何するかわかんねぇぞ」
えっなにそれ。ひどくない?

でも東坡の言葉に少し頷く仕草を見せた柳谷と、何も言い返せない祐樹と山野。
枕崎はジト目で僕を見る。
梅原はぽかんとしていて久遠さんは視線を逸らす。
そして同意と言わんばかりの目を向けてくる片桐。
「え、なんでそんなこと言うの」
なんでみんなそんな顔すんの。


もー!
別に傷つけるつもりはないよ。
さっきも宣言したし。
「失礼だな。じゃあ東坡に…」
そこまで言いかけた時だった。

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