初めての恋はあなたとしたい
「美花、可愛いだろ。やらねーからな」

祐樹は俺がミルクをあげているのにお兄ちゃんぶって赤ちゃんの頭を撫でている。
仲のいい祐樹でさえ、その慣れた姿に嫉妬さえ覚えてしまう。

「優子さんも次は考えていないの?」

「大きな筋腫があるから無理そうなの。でも男の子で、せめて跡取りを産めて良かったと思っているのよ」

親同士の話はいつものように盛り上がっているが、俺はいつものように祐樹と話せない。
羨ましくて仕方ないのだと子供心に思った。
俺だってこの小さな赤ちゃんを守りたいと思っていると、親友である祐樹は思いもよらないことを言ってきた。

「優子おばちゃんが赤ちゃんを産まないなら美花は俺とお前の妹ってことにしよう。一緒に守るんだぞ」

思ってもみない提案に俺は大きく頷いた。
さすが俺の親友だ。

でも後からこの約束を後悔することになるなんて、6歳の俺にはわかるはずなかった。
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