【電子書籍化】最初で最後の一夜だったのに、狼公爵様の一途な愛に蕩かされました
 グレンとルイスが、

「私、頑張りますね」
「ああ。俺も、きみを支えるから」
「グレン様……」
「ルイス……」

 と、抱き合いながら、二人の世界に入り込んでいたころ。
 開け放たれたドアの陰では、二人の男女がひそひそと話していた。

「離れないわね、あの男」
「邪魔だね」
「自分の番だからって、このまま独り占めするつもりなのかしら?」
「独占欲大爆発厄介男。……まあ、わからなくもないけど」
「もう、声をかけてしまってもいいんじゃないかしら?」
「それだと、義姉さんが可哀そうじゃない?」

 彼らは、次期当主であるグレンに対して、辛辣な言葉を向ける。
 さらに覗き見ともなると、そこらの使用人などにできることではない。
 こそこそとする二人の耳には、グレンによく似た狼のような耳が生えている。
 
 獣人女性の名は、ミリィ・アルバーン。16歳。
 さらさらロングの黒髪に、赤い瞳を持つ女性だ。
 女性としては背の高いほうで、小動物のようなルイスとは違い、凛とした顔立ちをしている。
 狼のような耳は白っぽく、銀髪と白耳の組み合わせのグレンよりも、獣人であることがわかりやすい。

 男性のほうは、クラーク・アルバーン。15歳。
 グレンと同じ銀髪碧眼に白い耳を有しているが、彼とは雰囲気が異なる。
 グレンはややワイルド系だが、クラークは、どちらかといえば可愛い系統。
 このまま成長すれば、甘い顔立ちの男性になりそうだ。

 彼らは、グレンの弟妹だった。
 
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