【電子書籍化】最初で最後の一夜だったのに、狼公爵様の一途な愛に蕩かされました
「……お兄様」
ミリィは、ルイスには挨拶を返さず、表情を動かさずにグレンのほうを向く。
ルイスが精一杯の笑顔に誠意を込めた挨拶は、ミリィに無視されてしまった。
まさかそこまで嫌われていたとは、と大ショックである。
しかし、続く言葉は。
「最高です。よくやってくれました」
「俺じゃなくて、ルイスと話せ。これじゃあ、せっかく挨拶したのに無視されたみたいだろ」
「……たしかに」
ハッとしたミリィは、すっとルイスのほうへと向き直る。
彼女の赤い瞳が、ルイスをまっすぐにとらえた。
「……ルイスお義姉さま」
「は、はい」
ミリィは、クール系獣人お姉さまとして、貴族の子女に人気がある。
女性ではあるが、獣人であるために身体能力も高く、やはり見目もいい。
将来はその力を活かして女性騎士となる予定の、麗しの公爵令嬢だった。
「お義姉さま」
「はい」
「……お義姉さま!」
「はい!」
「お義姉さま、お義姉さま、お義姉さま!」
「はい、はい、はい!」
ルイスは自分を「お義姉さま」と呼ぶミリィに返事をし続ける。
――このやり取りは、なに……!?
困惑するルイスをよそに、ミリィは感極まったように目を閉じたあと、その端正な顔をでれっと崩れさせる。
「ルイスをお義姉さまと呼べる日が来るなんて……! お兄様、本当にでかしましたわ! お義姉さま、お義姉さま、お義姉さまっ……!」
社交界で噂の、クール系お姉さまの姿はどこへやら。
ミリィは、両手で自分の頬を抑えながら、身体を左右に揺らして盛り上がっていた。
「え、っと……。ミリィ様……?」
「ルイス義姉さん」
「は、はい!」
次にルイスに声をかけてきたのは、クラークだ。
「僕も、ルイス義姉さんが兄さんと結婚することに、大賛成。よろしく。あと、呼び方はクラークでいいから。こっちが弟になるんだし」
「あっ! ずるいわよクラーク! お義姉さま、私のことも、ミリィ、と呼んで欲しいわ! 私が妹になるんだもの!」
にへにへデレデレしながら「お義姉さま、ルイスお義姉さま」と繰り返すミリィと、「ルイス義姉さん、か……」と呟くクラーク。
麗しの獣人お姉さまと呼ばれる人は取り乱し、可愛い系獣人男子のクラークは、落ち着いた様子ながらも嬉しさを滲ませている。
この家にやってきたばかりのルイスからすれば、謎の状況ではあったが……。彼らに嫌われていないことだけは、わかった。
ミリィは、ルイスには挨拶を返さず、表情を動かさずにグレンのほうを向く。
ルイスが精一杯の笑顔に誠意を込めた挨拶は、ミリィに無視されてしまった。
まさかそこまで嫌われていたとは、と大ショックである。
しかし、続く言葉は。
「最高です。よくやってくれました」
「俺じゃなくて、ルイスと話せ。これじゃあ、せっかく挨拶したのに無視されたみたいだろ」
「……たしかに」
ハッとしたミリィは、すっとルイスのほうへと向き直る。
彼女の赤い瞳が、ルイスをまっすぐにとらえた。
「……ルイスお義姉さま」
「は、はい」
ミリィは、クール系獣人お姉さまとして、貴族の子女に人気がある。
女性ではあるが、獣人であるために身体能力も高く、やはり見目もいい。
将来はその力を活かして女性騎士となる予定の、麗しの公爵令嬢だった。
「お義姉さま」
「はい」
「……お義姉さま!」
「はい!」
「お義姉さま、お義姉さま、お義姉さま!」
「はい、はい、はい!」
ルイスは自分を「お義姉さま」と呼ぶミリィに返事をし続ける。
――このやり取りは、なに……!?
困惑するルイスをよそに、ミリィは感極まったように目を閉じたあと、その端正な顔をでれっと崩れさせる。
「ルイスをお義姉さまと呼べる日が来るなんて……! お兄様、本当にでかしましたわ! お義姉さま、お義姉さま、お義姉さまっ……!」
社交界で噂の、クール系お姉さまの姿はどこへやら。
ミリィは、両手で自分の頬を抑えながら、身体を左右に揺らして盛り上がっていた。
「え、っと……。ミリィ様……?」
「ルイス義姉さん」
「は、はい!」
次にルイスに声をかけてきたのは、クラークだ。
「僕も、ルイス義姉さんが兄さんと結婚することに、大賛成。よろしく。あと、呼び方はクラークでいいから。こっちが弟になるんだし」
「あっ! ずるいわよクラーク! お義姉さま、私のことも、ミリィ、と呼んで欲しいわ! 私が妹になるんだもの!」
にへにへデレデレしながら「お義姉さま、ルイスお義姉さま」と繰り返すミリィと、「ルイス義姉さん、か……」と呟くクラーク。
麗しの獣人お姉さまと呼ばれる人は取り乱し、可愛い系獣人男子のクラークは、落ち着いた様子ながらも嬉しさを滲ませている。
この家にやってきたばかりのルイスからすれば、謎の状況ではあったが……。彼らに嫌われていないことだけは、わかった。