【電子書籍化】最初で最後の一夜だったのに、狼公爵様の一途な愛に蕩かされました
 グレンとの情事を終えたルイスは、くったりと力なくベッドに横たわる。
 番であることが判明してからも、二人は何度か身体を重ねている。
 通常、グレンはルイスにも予定があることを鑑み、あまり彼女に負担をかけないようにしてくれる。
 しかし、明日は互いに休暇であることがわかっていたため、ルイスは存分に彼に抱かれてしまったのだった。
 ちなみに、「今日はあなたの好きにしてください」とねだったのはルイスであるため、グレンが一方的に好き放題したわけではない。

「ルイス。水を持ってきたよ。飲むだろう?」
「はい……」

 まだぽやぽやしたままのルイスとは対照的に、グレンの足取りはしっかりしている。
 流石は獣人男性だ。
 彼は優しくルイスの上体を起こすと、彼女にグラスを差し出した。
 自分で思っていた以上に喉が渇いていたようで、彼女は一気に水を飲みほした。
 水分を取り入れた今も、彼女はまだぽうっとしている。
 そんなルイスを愛おしく思い、グレンは自身もベッドに入り、彼女を抱きしめた。
 ルイスにとっても、グレンにとっても、幸せな時間だった。

「ルイス?」
 
 彼の腕に抱かれていたルイスだが、もっと彼とくっつきたくなって、そっと身体を起こす。
 裸のままグレンの上に乗り上げ、彼の胸に身体を預けた。
 彼女の豊満な胸が、グレンの胸板に押しつぶされる。
 ふにゅりと潰れる様子とその感触を堪能しながらも、グレンは愛する番の頭を撫でた。

「……グレン様、大好き」
「俺もだよ。ルイス」

 こんな時間が、ずっと続けばいい。
 ルイスはそう願いながら、そっと目を閉じた。

 しかし、彼女の幸せで満ち足りた暮らしは、翌日やってくる訪問者によって、揺らがされることとなる。
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