「あなたが運命の人を見つける前に、思い出をください」と一夜を共にした翌朝、私が彼の番なことが判明しました ~白銀の狼公爵の、一途すぎる溺愛~
3章 番の愛と呪い
 翌日は、午後から二人で出かける予定だった。
 ルイスが引っ越してきてから初めての、のんびりと時間のとれるデートだ。
 午前はゆっくりと休み、昼頃からはランチを兼ねて街へ。
 ……のはず、だったのだが。

「グレン様。お客様がいらしております」
「……は?」

 出かけるために身だしなみを整えていたグレンの元に、執事がやってくる。
 予想外の言葉に、思わず上品さのない返しをしてしまった。

「客が来る予定はなかったはずだよな。これからルイスとデートなんだ。アポなしなら追い返してくれないか」
「それが……。いらしたのは、オールステット家のカリーナ様なのです」
「カリーナが? ……なら、流石に無視するわけにはいかないか」

 グレンは、乱暴に頭をがしがしとかきながら、溜息をつく。
 カリーナ・オールステットは、公爵家のご令嬢だ。
 このセリティエ王国には、四大公爵家と呼ばれる名家があり、そこに数えられるのが、アルバーン家とオールステット家。
 この国は、大きく分けて5つの地域に分けられている。
 王都のある中央。それから、東方、西方、南方、北方。
 中央は国王が、西方はアルバーン家、東方はオールステット家が取りしきっている。
 オールステット家は、アルバーン公爵家と同格の家柄なのである。

 そんな家のご令嬢であるカリーナが、約束を取り付けることもなく、急にやってきた。
 互いの領地は王都を挟んで反対にあり、隣接もしていない。
 だから、ここまでやってくるだけでも、それなりの時間がかかるはずだ。
 ただ遊びにきているだけだとは、思えなかった。
 きっと、オールステット家の娘直々に、突然やってくるだけの理由があるのだろう。
 そうとったグレンは、渋々ではあったが、カリーナに会うことを了承した。
< 40 / 87 >

この作品をシェア

pagetop