【電子書籍化】最初で最後の一夜だったのに、狼公爵様の一途な愛に蕩かされました
 今日は、よく晴れていた。
 空を見上げても、雲が視界に入らないぐらいだ。
 暖かく世界を照らす太陽を直に見てしまい、カリーナはすぐに視線をおろす。
 
――こういうときに天気がいいと、なんだか憎たらしくなるわね。

 自分が置かれている状況や気持ちとは、真逆のように思えるから。
 心がどしゃぶりのときに天気がいいと、気に入らない。
 そんなことを考えながら、カリーナはオールステット家の馬車を待たせているほうへ向かった。

「一旦ホテルに戻るわ。出してちょうだい」

 ルイスとグレンの元を去ったカリーナは、アルバーン公爵邸に停めていた馬車に乗り込み、御者に指示を出す。
 遠方だから、せっかくなら観光もしたいから、という理由をつけて、カリーナはアルバーン領に宿をとっていた。
 東方のオールステット家を離れ、しばらくはこちらに滞在するつもりだ。
 だが、本当の理由は違った。
 彼女は、最初からこの展開に持ち込むつもりで、西方にやってきたのである。
 簡単に話がまとまるとは思わなかったから、事前に宿泊先を用意していた。

 ホテルに向かう馬車の中で、カリーナは考える。
 どうしたら、グレンを自分のものにできるのだろう、と。
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