【電子書籍化】最初で最後の一夜だったのに、狼公爵様の一途な愛に蕩かされました
 カリーナとグレンは、四大公爵家の者同士、幼いころより交友があった。
 王都を挟んで西と東と、管轄する地域が離れているために、会う回数こそ少なかったが。
 生まれゆえに、対等に話せる相手が少ないカリーナにとって、グレンは大切な存在だった。

 カリーナは、筆頭公爵家のご令嬢で、うさぎのような耳のついた、小柄な人。
 白い髪に、赤い目。顔の作りが幼く愛らしいことも相まって、彼女はお人形さんのようだった。
 そんな彼女の容姿を、周囲の者たちは称賛した。
 そういった見た目をしているからと、彼女自身のことも人形のように扱った。
 小柄であっても、カリーナは獣人。身体能力そのものは高い。
 しかし周りの人間は、彼女が駆け回ることを許さなかった。
 彼女に、ただのお人形さん、か弱いお嬢さんであることを求めた。
 カリーナは、いつも窮屈な思いをしていた。

 けれど、同格の家柄に生まれた、獣人同士でもあるグレンは違った。
 カリーナに、男に守られる弱い女でいることを求めない。
 カリーナの身体能力の高さを理解している。
 幼いころは、一緒に野を駆けて競争してくれた。
 カリーナのほうが速かったため、何度も勝負を挑まれたぐらいだ。
 王に次ぐ権力を持つ家の生まれで、人形のような容姿のカリーナに、そんな風に接してくれたのは、グレンぐらいなものだった。
 グレンは、カリーナの初恋の人だった。
 そして、彼が好きだ、彼が欲しい、という気持ちは、今も変わらない。


 成長してからは、流石に走り回って遊ぶことはなくなった。
 でも、たまに会う彼は、幼いころのように、気さくに自分に話しかけてくれる。
 年に数回会う程度の関係ではあったが、カリーナのグレンへの恋心はどんどん育っていった。
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