【電子書籍化】最初で最後の一夜だったのに、狼公爵様の一途な愛に蕩かされました
 義理の弟妹となる二人も、偽の番と呼ばれたルイスを心配していたのだ。
 二人とも獣人とはいえ、己の感覚で、ルイスが本物の番であるかどうかの判別はできない。
 でも、彼らはグレンは嘘などついていないと、信じていた。わかっていた。

 先ほど、グレンが自分まで一直線に走ってきたこと。
 彼の弟妹が、「信じていい」「そんな嘘で傷つけたりしない」と自信をもって言ってくれたこと。
 それらが、「自分こそが番である」という気持ちを、もう一度、ルイスに持たせてくれて。

「ありがとう、二人とも。……グレン様も。私を見つけてくれて、嬉しかった」
「ルイス……」

 わだかまりが溶け、ルイスとグレンは見つめ合う。
 二人のあいだに甘い雰囲気が漂い始めたことを合図に、クラークとミリィはそっと席をたつ。
 邪魔者は退散します、あとは二人で仲良くしてください、といったところか。


 グレンとルイスのいる東屋から離れつつ、ミリィはほっと胸をなでおろす。

「ルイスお義姉さまに信じてもらえたみたいで、よかったわ……」
「結局ラブラブだよね、あの二人。僕らが話をする前からあの調子なんだから。僕らのサポート、必要なかったんじゃない?」
「まあ、ないよりはよかった……と思うわよ。多分」

 屋敷に向かっていた二人だが、ふと、クラークが足をとめる。

「クラーク?」
「……さっきは兄さんたちの邪魔をしたくなくて、話せなかったんだけど。カリーナの主張の真偽、僕らでたしかめられると思うんだ。ルイス義姉さんを探す兄さんの様子を見て、ちょっと思いついたことがある」



 クラークの考えを聞いたミリィは、なるほどね、とこぼす。

「……カリーナも獣人だから、確実ではないけど。それで嘘が暴ける可能性はあるわね」

 クラークとミリィは、兄と、その番であるルイスのために、動き出す。
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