緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 何も特別な事はしていないけど手掛かりになるのならと、私は植木鉢を用意して鉢植えの準備を始めた。

 鉢に底石を敷き詰め、作って寝かせておいた水はけの良い土を半分ほど入れ、マイグレックヒェンの球根を植える。
 隙間を埋めるように土を鉢の八分目まで入れると、たっぷり水を与えるために魔法を詠唱した。

<我が生命の源よ 清らかなる水となりて 我が手に集い給え アクア=クリエイト>

 私が呪文を唱え、手のひらに魔力を集めると、キラキラと光る魔力が水になり、マイグレックヒェンを植えた鉢に降り注ぐ。

「えっと、こんな感じでいつも植えていますけど……あの……?」

 作業が終わったので声を掛けてみたけれど、二人の視線は何故か私の手に固定されたままだ。

「今の魔法は……?」

「え? 普通の水魔法ですけど?」

 ヘルムフリートさんが信じられないという顔をして聞いてきた。
 私が使ったのは、ただ魔力で水を作るだけの魔法で、水属性の人なら誰でも使える初級の魔法だ。
 魔法に精通しているヘルムフリートさんが知らないはずはないのだけれど、と不思議に思う。

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