緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「いや、今のは俺が知る初級魔法とは違っていたのだが」

「はい?」

 ジルさんも今の魔法が不思議だったらしく、私とマイグレックヒェンを植えた鉢を見ては首を傾げている。

「ちょっと失礼」

 ヘルムフリートさんはそう言うと、植えたばかりのマイグレックヒェンの球根を素手で取り出した。
 さっきとは違い、防御魔法が発動しない様子にヘルムフリートさんは確信したように言った。

「……やっぱりアンさんが使っている魔法が球根の毒を解毒したのは間違いなさそうだね」

「アンは誰に魔法を教わったんだ?」

「祖父からです。両親の代わりに花の育て方や魔法を私に教えてくれました」

 特別魔法の適性が高い子供なら魔法学校に通って魔法師や魔導師を目指すけれど、普通の子供は親に教えて貰うことがほとんどだ。
 私の場合も特別魔力が高い訳では無かったので、初級の魔法をお祖父ちゃんから教わっただけだった。

「アンの祖父は名のある魔導師だったのか?」

「え、いや、どうなんでしょう……? 私が物心ついた頃にはここで花を育てていましたので、詳しくは両親に聞かないとわからないですね」

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