緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
(まさかヘルムフリートさんが侯爵だったなんて……! そんな高位貴族だとは思わなかった!!)

 よく考えたら魔術師団長で王女殿下の恋人なのだ。そんじょそこらの貴族とは比べ物にならないぐらいの大物のはず。本人が気さく過ぎてつい失念していた。

「……あの、そのジ……騎士団長さんも、もしかして侯爵様だったりします……?」

 侯爵のヘルムフリートさんと幼馴染なのだったら、ジルさんもきっと高位のお貴族様なのかもしれない。

「ん? 団長は公爵だよ。結構有名人だと思っていたけど、アンちゃんは知らないんだ?」

「こっ公爵っ?!」

 驚愕する私をヴェルナーさんが不思議そうに見るけれど、今の私はそれどころじゃなかった。ジルさんの身分があまりにも高位過ぎて頭の中が真っ白だ。




 それから、ヴェルナーさんがフィーネちゃんを連れて帰り、難なく仕事を終えることが出来たけれど、正直これまでのことはあんまり覚えていない。
 だけどお客さんに何も言われなかったから、いつも通り振る舞うことができたのだと思う。

(うーん、まさかこんなに衝撃を受けるなんて……どうしてだろう……)

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