緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 ジルさんは自分の容姿がどれだけ優れているのか全く理解していない。そこは自覚して欲しいと思うものの、ここで私が下手にアドバイスなんてして、ジルさんの魅力を令嬢達に知られてしまうのも嫌だ。
 だから私はもう少しだけ、こんなラフで格好良いジルさんの姿を独り占めしたいと思う。

 思わずジルさんのエプロン姿で一人フィーバーしてしまったけれど、ジルさんがお店に来てからまだ10分程しか経っていないことに驚いた。
 10分間でこれだけ興奮しているのに……。このままでは早々に燃え尽きてしまう。

「ごほんっ! では、温室へ行きましょう!」

「うむ」

 私は咳払いをして気持ちを切り替えると、ジルさんを伴い、温室の一区画で育てているラウケとバジリコを収穫する。

 ラウケはセサミ風味の味と香りがするとても美味しいクラテールだ。主にサラダに使われることが多いけれど、炒めても美味しいしパスタに入れても美味しいからとても重宝している。

 バジリコはさわやかで甘く、独特の芳香があるクラテールだ。ラウケと同じようにサラダに入れたり、ソースにして料理に使ったりピザに乗せたりと大活躍してくれるのだ。

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