緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「それなら、クロイターティに使いたい。執務室に鉢を置いておけば、いつでも飲めるだろう?」

「なるほど。それなら休憩時間にリラックスできそうですね」

 ジルさんの執務室には大きな窓があるそうだ。クラテールの多くは日当たりが良い場所を好むから、育てるには丁度いいだろう。

「初めて飲んだクロイターティがまた飲みたいのだが」

「ああ、カミルとミンゼですね。でも……二つを寄植えにするのはおすすめできませんね」

「む。そうなのか?」

「はい。ミンゼの繁殖力が強くて、カミルを侵食してしまうんです。ミンゼは単体で育てたほうが無難だと思います」

「……むぅ。クラテールは奥が深いのだな」

 ジルさんが顎に手を当てて考えている。
 クラテールの寄植えは相性をよく考えないとダメなのだ。その辺り、ちゃんと説明しなかった私に非があるかもしれない。

「じゃあ、カミルに合わせてツィトローネンメリッセとツィトローネンバーベナを組み合わせるのはどうでしょう? 丈夫なクラテールなので育てやすいですし、柑橘系の良い香りがするんですよ」

「アンが勧めてくれるのなら、それにしよう」

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