緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 ツィトローネンメリッセは初夏に白い花が咲いて可愛いし、葉色も明るいグリーンだから、観葉植物としても人気がある。しかも解毒作用や鎮痛作用などもあって、昔から薬用として使われていた便利なクラテールだ。
 そしてツィトローネンバーベナは夏から秋にかけて白い花が咲き、触ると爽やかな香りがする。ツィトローネに似た香りはリラックス効果をもたらすので、休憩のお茶にはもってこいだ。

 私は用意した手袋をジルさんに渡し、自分の手にもはめる。

「じゃあ、株分けしますので、ちょっと待って下さいね」

 私は地植されているツィトローネンメリッセの根に、刺激を与えるつもりでスコップを突き立てる。そして株の周りの根を切るように掘り上げ、株全体を土から取り出した。
 取り出した株を適当な大きさに分けて、ジルさんの寄植えに使うのだ。

 同じように他のクラテールの株も分け、寄植え用に除けた後は、土に肥料を加え、株を植戻しておく。これで心機一転、また元気に育ってくれるだろう。

「さすがに手際が良いな。思わず見惚れてしまった」
 
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