緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「おお! 華やかで可憐な中にも上品さが垣間見えて、すごく素敵だね! これならあの人も喜んでくれるよ!」

 ヴェルナーさんがとても良い笑顔で花束を受け取ってくれた。すごく喜んでくれて私もすごく嬉しい。

 自分が作った花束をこうして喜んでくれる人がいるから、この仕事がたまらなく好きなのだと実感する。

「この店の花ってすごく持ちが良いからいつも好評なんだよ。今度俺の同僚にこの店教えてもいいかな?」

 ヴェルナーさんが「本当は内緒にしたいけどね」とウインク付きで言うけれど、私としてはお客さんが増えるのに越したことはない。

「有難うございます。もしよろしければ是非」

 私の言葉にヴェルナーさんはニッコリ微笑むと「わかった。じゃあ紹介しておくね」と言ってお店を去って行った。

 ヴェルナーさんは騎士団の人にこのお店を紹介してくれると言ったけれど、騎士団は王宮に詰所があるので、ここまで来るのに距離があるんじゃないかな、と思う。

(……まあ、私が心配しても仕方ないか)

 花束を作った後の片付けをしていると、丁度閉店の時間となった。

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