緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 バラバノフは部下からの返答に驚いた。
 いくら小さい店舗とは言え、店を運営するならばある程度の品種が必要となる。しかし王都郊外とは言え、そんな場所に花を生産できるような広い土地があるとは聞いたことがない。
 生花店の店長代理を務めるバラバノフが、その情報を知らないはずないのだ。

「種や球根などは商業ギルドから購入しているようですが、ギルドに圧力を掛ける訳にもいきませんし」

「くそ……っ!」

 商業ギルドは公平性を重んじる。大きな商会がギルドに圧力を掛けようとして、返り討ちに合ったことが過去にあったという。
 それに『プフランツェ』も商業ギルドを利用しているので、関係を悪化させるのは得策ではないのだ。

「その花を生産している場所を調べることは出来るか?」

「……それが、何故かあの区画一帯、警備が強化されているようで……怪しい行動をするとすぐ衛兵がやってくるそうです」

「どういうことだ……? これは偶然か……?」

 バラバノフは腕を組んで考える。このタイミングで警備が強化されていることと、例の店が式典の花を受注したことに関係があるのか、と。

< 211 / 238 >

この作品をシェア

pagetop