緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 ジルさんがにっこりと微笑んだ。その笑顔を更に引き立てるようなキラキラのオプション付きだ。背景の花畑との相乗効果が凄まじい。

「……っ、はい! こちらこそ有難うございます! 私も楽しみにしています!」

 クロイターティを飲み終えたジルさんは、今から騎士団の詰め所に戻るのだという。何やら騎士団を動員して解決しなければならない事案があるようだ。

 そんなに忙しいジルさんが、わざわざ私に会いに来てくれたことが申し訳ないと思いつつ、嬉しいと思っているのもまた事実で。

(私もジルさんに何かプレゼントを贈りたいな……)

 温室を使わせて貰うお礼に、手作りプレッツヒェンは流石に無理があるので、食べ物じゃない何かを贈りたい。

 ジルさんと次の約束をした私は、その日までに何を贈るか決めようと思いながら、ジルさんが住んでいるのはどんなお屋敷だろう、と暢気に考えていた。




 * * * * * *




 婚約式の準備で忙しくしている内に、あっという間に水の日になった。
 今日はディーステル伯爵家にお邪魔して、お姉様方とお茶をするのだ。

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