緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「直接衛兵団に連絡が行くように出来ればいいのだが、その場合アンのことを説明しなければならないからな。アンの魔法のことが外部に漏れる可能性は出来るだけ無くしたい」

 魔道具から連絡が行くと、すぐに騎士団から衛兵団へ出動を要請するのだとジルさんが説明してくれた。
 取り次ぎが発生する分、少しだけ出動が遅れるけれど、それぐらいの時間差なら対して問題にはならないと思う。

「そう簡単に壊せないように強固な術式を組んでおいたから、大丈夫だとは思うけど、絶対油断しちゃダメだからね?」

「気をつけます!」

 物語の中でも、油断したヒロインが勝手な行動をして余計周りに迷惑をかけてしまう……なんて王道の展開があるけれど、自分は絶対そんな事をしないと心に誓う。
 それにジルさんが来てくれるのだと思うと、嬉しくていつまでも待てそうだし。

 防犯について注意をされた後、ジルさんたちとしばらく談笑していると婚約式の話題になった。

「フロレンティーナがアンさんの装花をすごく楽しみにしているよ。なんか要望を出したって言っていたけど、大丈夫かな?」

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