緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長

04

「いえっ! 大丈夫ですからっ!! 気にしないで下さい!! 私も聞き方が悪かったと思いますし!」

 突然美男子さんに頭を下げられた私は、顔を上げて貰うようにお願いする。

「そう言って貰えると有り難い」

 私は美男子さんが女性達に好意を寄せられ、根掘り葉掘り質問攻めにされてきたのだろうな、と想像する。

(そりゃ警戒しちゃうよねぇ……)

 私は美男子さんの苦労を勝手に想像して同情した。

「じゃあ、明るい色合いの花を中心にまとめますね」

「ああ、お任せする」

 美男子さんからお任せを頂いた私は、贈られた人が元気になるような花束を、と思いながら黄色とオレンジ色、グリーンの花を選ぶ。
 オレンジのローゼにミックスカラーのネルケ、クリーム色のリシアンサス……。

 彩度が高くなりがちなところを、白いリモニウムを加えて中和し、甘く可愛い雰囲気に仕上げる。

「ほう……まるで魔法みたいだな」

 私が花束を作っていく過程をじっと眺めていた美男子さんが、完成した花束を見て感嘆の声をあげる。
 ちょっと気難しそうな人だと思っていたけれど、意外と素直な人なのかもしれない。

< 27 / 326 >

この作品をシェア

pagetop