緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「えへへ。有難うございます。こんな感じで宜しいでしょうか」

「……ああ、気に入った。きっと相手も喜んでくれるだろう」

「早く元気になられると良いですね。どうぞお大事にとお伝え下さい」

 私が花を贈る相手を心配する言葉をかけると、美男子さんは驚いた表情を一瞬浮かべた後、ふんわりと優しく微笑んだ。

 私はその笑顔に、再び花が咲き乱れる幻覚を見る。

(うわぁあ! 眩しい……!)

「伝えておこう。では、失礼する」

「有難うございました!(色んな意味で!)」

 私は花束を買ってくれたことと、目の保養をさせてもらったことと合わせてお礼を言った。きっと本人には隠された意図はバレていないはず。

(はぁ〜〜格好良かった。あんな美形に花束を貰える人なら、きっと素敵な人なんだろうな)

 私はふと、ヴェルナーさんを思い出し、そう言えば彼も結構整った顔立ちをしているな、と気付く。

 もしかして騎士団って顔で選んでいるのかもしれないなんて、失礼なことを考える。

(はっ、いけないいけない。そろそろ閉店準備をしないと!)

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