緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「マイグレックヒェンのことも安心していいよ。王家が特別に用意した花だから、市場には出回らないってことにするから」

「あ、それはとても助かります! よろしくお願いします!」

 まさかエマさんとヒルデさんが言ったことが現実になるとは思わなかったけれど、王女様とヘルムフリートさんのおかげでお店の問題はすっかり解決することとなる。

 それから、ヘルムフリートさんは早速行動に移してくれたらしく、花の買い占めはなくなり、いつものお客さんたちにも花が行き渡るようになった。

 それでもお客さんの数は増え続け、連日お店は大盛況だ。

「──はい、おまたせしました! こんな感じで大丈夫ですか?」

「わぁ! すごく素敵! お母さんが喜ぶわ! 本当に有難う!」

 毎日目が回るほど忙しいけれど、私が作る花束を見た人の笑顔に、私はこの仕事を続けて本当に良かったな、と思う。
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