緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 ヘルムフリートの言葉に、怒りで我を忘れていたジギスヴァルトの目が正気に戻る。

「アンは俺が連れて行く!! お前はコイツを見張っていろ!!」

 我に返ったジギスヴァルトはアンネリーエを抱き上げると、ヘルムフリートにフライタークを任せて商会を飛び出していく。

(くそ……っ!! アン……っ!! 死なないでくれ……っ!!)

 ジギスヴァルトは祈りながら、王宮へと向かう。
 そこには王国最高の知識と技術を持つ王宮医師がいるはずだ。
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