緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 まあ、私には関係ないことだし恋愛は自由なので、人に迷惑さえかけなければ好きにすればいいけれど。

(そう考えたらジルさんは誠実だよね。病気の彼女のために花束を贈り続けているんだから……って、いけないいけない。今はお仕事中!)

 私は雑念を取り払い、とにかくヴェルナーさんの注文をこなそうと花を選ぶことにする。

 大人っぽい赤い花といえばローゼだけれど、ローゼだけでは面白くないので、濃いめのピンク色をしたガーベラを足して雰囲気を明るめにする。ピンクのガーベラでも芯は黒い品種なので、落ち着いた色合いとなっている。
 全体的に重い雰囲気にならないように、クリーム色のリシアンサスを追加し、グリーンにブプレリウムを使う。ブプレリウムは軽やかな草姿と明るいライムグリーン色が可愛くて、どの花束にも合う優れものだ。
 更に私はアクセントとしてヒペリカムを選ぶ。ヒペリカムは明るい茶色の実がついた植物で、花が咲いた後の実の方がよく使われる。

「お待たせしました。こんな感じで如何でしょう?」

「おお! 良いねぇ! 予想以上に素敵な花束だよ!」

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