緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 でも若い女性からは大変好評だったので、たまにはこんなお店も良いかな? と思ってしまう私は流されやすいのかもしれない。



 * * * * * *



(そろそろ閉店時間だけど……ジルさん来ないなぁ……)

 私が閉店準備をしても良いものかどうか迷っていると、ジルさんが慌てた様子で店に駆け込んできた。

「すまん! 遅くなった!」

「ひぇ?! あ、いえ、まだ大丈夫ですよ!」

 もしかしたら今日は来ないかも、と思っていたので、来てくれてとても嬉しい。

「昨日お預かりしたアルペンファイルヒェンです。元気になってくれましたよ」

 私がアルペンファイルヒェンの鉢を見せると、ジルさんが驚きの表情を浮かべた。

「……これは……! 本当に元に戻っている……! アンは『緑の手を持つ人』なのだな」

 ジルさんはそう言うと、眩しいものを見るかのように目を細めて私を見た。

「あ! いや、そんな! 花屋なら誰でも出来ますよ?」

 ジルさんが言う「緑の手を持つ人」とは、植物を育てるのがとても上手な人のことを言う。
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