緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
「はい。私たち人間と違って植物は自分で暑さをしのいだり暖をとったりできませんから。だから植物の好む環境やそれぞれの植物に必要な環境を作ってあげるんです」

「……む。なるほど」

 ジルさんは私から受け取った鉢をじっと眺め、何かを考え込んでいる。

「植物に愛情があったとしても、押し付けては駄目なんです。時には引いたり、じっと待っていたりする時間も大切なんですよ」

 人間だってずっと構われていると疲れてしまう。それは植物だって一緒なのだ。

「有難うアン。大事にするあまり手を掛けすぎたようだ」

 ジルさんがフッと柔らかく微笑んだ。それは花が咲き乱れる幻影ではなく、蕾がふんわりと咲くような幻影だった。

「あ、いえ、偉そうなことを言ってしまいましたが、参考になったなら嬉しいです」

 ジルさんが悲しそうだったので、思わず長々と語ってしまったけれど、段々恥ずかしくなって来た私は話題を変えて誤魔化すことにする。

「あの、それで、今日の花束はどうされますか?」

「ああ、そうだった。今日もおまかせで頼む。アンのセンスは信用できるからな」

「……っ、有難うございます……!」

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