緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 何故アンネリーエが毒を持つマイグレックヒェンを栽培しているのかというと、マイグレックヒェンはその愛らしく可憐で素朴なその姿が「幸せを呼ぶ花」として北方の国で親しまれているからだ。

 可愛い花でも毒を持つのに「幸せを呼ぶ花」と呼ばれ、花言葉が「純潔、純粋、幸福」というマイグレックヒェンに、アンネリーエは心惹かれるものがあったのだ。

 マイグレックヒェンは紫色で釣り鐘状の、壷状に丸まった花が咲くという。

 アンネリーエは花が開花するのを楽しみにしながら、温室を後にしたのだった。
 




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❀花の名前解説❀

リシアンサス→トルコキキョウ

マイグレックヒェン→すずらん
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