緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長

01

 花屋の朝は早い。

 ベッドから降りた私は顔を洗い、動きやすい服にさっと着替えると、一階にあるキッチンへと向かう。

 ちなみに私の店は2階が住居部分になっていて、私が寝起きしている部屋も2階にある。
 部屋は他にもあり、両親が使っていた寝室の方が私の部屋より広いけれど、私はこぢんまりとしたこの狭い空間を気に入っている。
 自分好みの可愛い小物や、お気に入りのファブリックで彩られた部屋はまるで隠れ家みたいで、私だけのお気に入り空間に整えられているからとても居心地が良いのだ。

 キッチンに降りた私は簡単にサラダを作ると、パンを温めながらフライパンで目玉焼きとソーセージを焼き、紅茶を淹れて朝食の準備を完了する。

 こうして料理をしてると、お母さんが「アンネリーエは手際がとても良いいから、食堂で働いても即戦力になるわね」と言ってくれた事があったな、と懐かしく思う。

 普段はお店のことでいっぱいで思い出す暇もないけれど、こうして生活をしていると、ふと一人が寂しいと思う時がある。

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