緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 私には見慣れた光景だけど、初めて見たお二人はすごく驚いたようでぽかんとしている。

「……む。これはすごいな」

「うわぁ……。店の裏にこんな大きな温室があるなんて思わなかったよ」

 ガラスの天井から降り注ぐ光が花畑を照らし、鮮やかな色の花々が咲き誇る光景は幻想的だ。この光景が好きだから、私はこの場所から離れたくなかったのだ。

「アンさん、色々見せて貰っても構わないかな?」

 好奇心が刺激されたのだろう、ヘルムフリートさんが興奮気味に聞いてきた。

「はい、どうぞ自由にご覧ください。私はお茶を用意してきますね」

「む。手伝おう」

「いえいえ! 良ければジルさんもゆっくり見て行って下さい。あ、あちら側に鉢植えも置いていますよ」

 ジルさんからの申し出をやんわりと断った私は、お茶の用意をしにキッチンへと向かう。
 お湯を沸かしている間に買い物の荷物を片付けて、お茶菓子のプレッツヒェンを用意する。

 トレーにカップを載せ、温室へ向かおうとした私のもとへ、ヘルムフリートさんが慌てて駆け込んできた。

「ちょ、ちょっとアンさん!! あの花は一体どうしたの?!」

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