緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
 私は盛大な勘違いをしているらしいジルさんの言葉を慌てて遮った。

 ジルさんの言う通りヘルムフリートさんは話し上手で親しみやすい人だったけれど、私に恋愛感情は全く無い。それは例えフロレンティーナ王女殿下という存在がいなかったとしてもだ。

「しかし……」

「私はただフロレンティーナ王女殿下が早く回復されるように、ヘルムフリートさんに頑張って欲しかっただけなんです!」

 睡眠不足だと脳の働きが低下して仕事の効率も悪くなってしまう。そんな状態で良い薬が作れる訳がない。

「……っ、そうか。……すまない、俺が勘違いしていたようだ」

「わかって貰えて良かったです。あ、プレッツヒェンはいかがですか? 私の手作りなので見た目は悪いんですけど」

 私はジルさんが気にしないようにと、無理やり話題転換する。
 ここしばらくジルさんを見ていて、この人はきっと可愛いものや甘いものが好きなのではと思ったのだ。

「……む。手作りか、いただこう」

 予想通り、ジルさんがプレッツヒェンに食い付いた。
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