転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!
13
アンバーは、一瞬絶句した後、まくし立て始めた。
「そんな……! ご冗談ですよね? 私とモニクお嬢様の仲ではありませんか!」
「信頼を裏切るような真似をしたのは、あなたでしょ」
「だけど……」
アンバーは私に詰め寄ろうとしたが、アルベール様にぎろりとにらまれて、口をつぐんだ。私は、そんな彼女の元へ歩み寄ると、静かに告げた。
「でもね、あなたの言うことも、一理あると思うの。卑屈でおどおどしていたのは、本当のことだわ。でももう、そういう所は改めることにしたの。これからは自信を持って、自分の意見をハッキリ言うことにするわ」
「それが、私の解雇ってことですか」
アンバーは、唇をゆがめた。
「考え直してくださいよ。モニク様との付き合いはもう終わりなんだから、私がこの家にいたって関係無いじゃないですか」
嫁に行くから、ということか。花婿はいなくなったんだけどな、と私は密かに思った。
「あなたのような人を雇うのは、サリアン家のためにならないわ。お父様には、そう申し上げておきます」
なおもアンバーが口答えしようとした、その時だった。遠くで、悲鳴が上がった。同時に、大勢の人間がバタバタと走り回る気配がする。
(ついに、死体が見つかった……!?)
「何事かしら?」
他の二人の侍女たちは、そわそわし始めた。
「アンバー、取りあえず行きましょうよ。モニク様のご決心は固いようだし……。何が起きたのか、気になるわ」
好奇心に勝てなかったのだろう。二人は、アンバーを連れて部屋を出て行った。アルベール様と二人きりになると、私は彼をキッとにらみつけた。
「アンバーを叱ってくださったことには、感謝しますわ。でも、どうしてキスなんて? やり過ぎですわよ」
「インパクトは強い方がいいでしょう。それに俺は、賭けに勝った。あれは戦利品です」
「私は、賭けなんて承諾した覚えはございませんわよ!」
語気を強めて言えば、アルベール様はなぜかふっと笑われた。
「少しは、主張できるようになってきたじゃないですか」
「……!」
前世の記憶が戻ったおかげかしら、と私はぼんやり思った。
「さて、いよいよ死体発見、か。事態はどう転ぶかな」
アルベール様は、けろりとそう呟いている。その横顔は、まるで事件を楽しんでいるかのようだった。
「そんな……! ご冗談ですよね? 私とモニクお嬢様の仲ではありませんか!」
「信頼を裏切るような真似をしたのは、あなたでしょ」
「だけど……」
アンバーは私に詰め寄ろうとしたが、アルベール様にぎろりとにらまれて、口をつぐんだ。私は、そんな彼女の元へ歩み寄ると、静かに告げた。
「でもね、あなたの言うことも、一理あると思うの。卑屈でおどおどしていたのは、本当のことだわ。でももう、そういう所は改めることにしたの。これからは自信を持って、自分の意見をハッキリ言うことにするわ」
「それが、私の解雇ってことですか」
アンバーは、唇をゆがめた。
「考え直してくださいよ。モニク様との付き合いはもう終わりなんだから、私がこの家にいたって関係無いじゃないですか」
嫁に行くから、ということか。花婿はいなくなったんだけどな、と私は密かに思った。
「あなたのような人を雇うのは、サリアン家のためにならないわ。お父様には、そう申し上げておきます」
なおもアンバーが口答えしようとした、その時だった。遠くで、悲鳴が上がった。同時に、大勢の人間がバタバタと走り回る気配がする。
(ついに、死体が見つかった……!?)
「何事かしら?」
他の二人の侍女たちは、そわそわし始めた。
「アンバー、取りあえず行きましょうよ。モニク様のご決心は固いようだし……。何が起きたのか、気になるわ」
好奇心に勝てなかったのだろう。二人は、アンバーを連れて部屋を出て行った。アルベール様と二人きりになると、私は彼をキッとにらみつけた。
「アンバーを叱ってくださったことには、感謝しますわ。でも、どうしてキスなんて? やり過ぎですわよ」
「インパクトは強い方がいいでしょう。それに俺は、賭けに勝った。あれは戦利品です」
「私は、賭けなんて承諾した覚えはございませんわよ!」
語気を強めて言えば、アルベール様はなぜかふっと笑われた。
「少しは、主張できるようになってきたじゃないですか」
「……!」
前世の記憶が戻ったおかげかしら、と私はぼんやり思った。
「さて、いよいよ死体発見、か。事態はどう転ぶかな」
アルベール様は、けろりとそう呟いている。その横顔は、まるで事件を楽しんでいるかのようだった。