転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!
5
お父様とバルバラ様、そして私は、固唾を呑んでアルベール様を見つめた。彼は、ちょっと思案するような顔を見せた後、あっさり頷いた。
「承知しました。保留といたしましょう!」
私は、きょとんとした。
(本当に、何を考えてらっしゃるの。申し込んでみたり、あっさり引き下がってみたり……)
「おお、寛大なお言葉、ありがとうございます」
「申し訳ございませんわあ」
お父様とバルバラ様の、お顔がほころぶ。アルベール様は、飄々と続けた。
「同じ過ちを繰り返すまいと、つい焦ってしまいましたが。確かに、お二人の仰る通りですね。結婚話は今しばらく棚上げとしまして……。ですが」
彼は、にっこり笑った。
「当面は、こちらを訪問してモニク嬢とお会いすることを、お許しいただきたい。バルバラ夫人が仰った通り、彼女は優しい性格ですから。今回の事件は、さぞショックだったことでしょう。私は、そんな彼女の傍に寄り添って差し上げたいのです」
バルバラ様のお顔が引きつる。自分の発言が裏目に出た、と思ったのだろう。お父様も、困ったような表情を浮かべられたが、さすがに断る理由が思いつかなかったのだろう。渋々ながら、頷かれた。
「ご配慮、ありがとうございます。大してお構いもできませんが、それでもよろしければ、是非いらしてください」
「モニク嬢と共に時間を過ごせれば、それで十分です」
もう一度微笑んでから、アルベール様は席を立たれた。すかさず、バルバラ様も立ち上がられる。
「ではアルベール様、お見送りを……」
だが、そんな彼女の言葉をさえぎる声がした。
「アルベール様!」
いそいそと応接間に入って来たのは、モーリスだった。
「お話は、お済みでございますか。でしたら是非、ご案内したい場所が」
「ちょっと、モーリス! あなた、何を勝手な……」
バルバラ様は気色ばんだが、モーリスはそれを無視して続けた。
「我が屋敷の誇る庭園を、是非ご覧いただきたいのです。モニク嬢の母君の好みで作ったものなのですが、大変美しくてですね」
「そうですか。それでは、見せていただこうかな」
アルベール様が頷く。どうぞどうぞ、とモーリスは声のトーンを上げた。
「では、早速ご案内しますね!」
そしてモーリスは、私に軽く目配せしたのだった。
「承知しました。保留といたしましょう!」
私は、きょとんとした。
(本当に、何を考えてらっしゃるの。申し込んでみたり、あっさり引き下がってみたり……)
「おお、寛大なお言葉、ありがとうございます」
「申し訳ございませんわあ」
お父様とバルバラ様の、お顔がほころぶ。アルベール様は、飄々と続けた。
「同じ過ちを繰り返すまいと、つい焦ってしまいましたが。確かに、お二人の仰る通りですね。結婚話は今しばらく棚上げとしまして……。ですが」
彼は、にっこり笑った。
「当面は、こちらを訪問してモニク嬢とお会いすることを、お許しいただきたい。バルバラ夫人が仰った通り、彼女は優しい性格ですから。今回の事件は、さぞショックだったことでしょう。私は、そんな彼女の傍に寄り添って差し上げたいのです」
バルバラ様のお顔が引きつる。自分の発言が裏目に出た、と思ったのだろう。お父様も、困ったような表情を浮かべられたが、さすがに断る理由が思いつかなかったのだろう。渋々ながら、頷かれた。
「ご配慮、ありがとうございます。大してお構いもできませんが、それでもよろしければ、是非いらしてください」
「モニク嬢と共に時間を過ごせれば、それで十分です」
もう一度微笑んでから、アルベール様は席を立たれた。すかさず、バルバラ様も立ち上がられる。
「ではアルベール様、お見送りを……」
だが、そんな彼女の言葉をさえぎる声がした。
「アルベール様!」
いそいそと応接間に入って来たのは、モーリスだった。
「お話は、お済みでございますか。でしたら是非、ご案内したい場所が」
「ちょっと、モーリス! あなた、何を勝手な……」
バルバラ様は気色ばんだが、モーリスはそれを無視して続けた。
「我が屋敷の誇る庭園を、是非ご覧いただきたいのです。モニク嬢の母君の好みで作ったものなのですが、大変美しくてですね」
「そうですか。それでは、見せていただこうかな」
アルベール様が頷く。どうぞどうぞ、とモーリスは声のトーンを上げた。
「では、早速ご案内しますね!」
そしてモーリスは、私に軽く目配せしたのだった。