転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!
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「その通りです」
アルベール様は、あっさり頷かれた。
「あなたのご両親が、結婚にうんと仰るとは、まず思えなかったので。断られることは、想定済みだったんです。でもデートくらいいいでしょ? と譲歩させるつもりでした。さすがに、それもダメとは言いにくいでしょうから」
(何だ、やっぱり本気ではなかったのね……)
当たり前ではないか、と私は自分に言い聞かせた。こんな素敵な方が、私などに結婚を申し込むなんて、あり得ない。そもそも、本当の恋人同士ではないのだから。彼は、きっと楽しんでいるだけだ。この、隠蔽ごっこを……。
わかっているのに、陰鬱な思いが私を襲う。アルベール様は、そんな私をチラと一瞥した後、「そういえば」と言い出された。
「サリアン伯爵とお話しするのは初めてでしたが、ずいぶん面白い方ですね。無意味な間投詞を挟まないと、喋れないのですか? 『そのー』が最多で、六回でしたね。ちなみに『えー』と『うー』は三回、『あー』は二回」
「数えてらっしゃったんですの?」
私は、思わず噴き出した。
「面白かったので。……ところで、やっと笑いましたね」
「……え」
不意を突かれて、私は言葉に詰まった。アルベール様は、真剣な瞳で私を見つめている。
「昨夜から今までで、あなたが笑ったのは初めてだ。そりゃ、状況が状況でしたが……。でも、なるべく明るい気持ちでいた方がいいですよ。あなたは殺っていないと、俺は信じていますから」
アルベール様は、妙に確信に満ちた口調で仰った。
「昨夜、部屋の前で倒れているあなたを発見した時は、正直少し疑いました。でも、一緒に時を過ごして、わかりましたよ。あなたは、人を殺せるような人間では無いと。だから、そこは自信を持っていいと思います」
「アルベール様……」
何だか、胸が熱くなる。いいじゃないか、女性として愛されていなくても、と私は思った。彼は私を信じると言ってくれたのだ。それで十分な気がした。
アルベール様は、あっさり頷かれた。
「あなたのご両親が、結婚にうんと仰るとは、まず思えなかったので。断られることは、想定済みだったんです。でもデートくらいいいでしょ? と譲歩させるつもりでした。さすがに、それもダメとは言いにくいでしょうから」
(何だ、やっぱり本気ではなかったのね……)
当たり前ではないか、と私は自分に言い聞かせた。こんな素敵な方が、私などに結婚を申し込むなんて、あり得ない。そもそも、本当の恋人同士ではないのだから。彼は、きっと楽しんでいるだけだ。この、隠蔽ごっこを……。
わかっているのに、陰鬱な思いが私を襲う。アルベール様は、そんな私をチラと一瞥した後、「そういえば」と言い出された。
「サリアン伯爵とお話しするのは初めてでしたが、ずいぶん面白い方ですね。無意味な間投詞を挟まないと、喋れないのですか? 『そのー』が最多で、六回でしたね。ちなみに『えー』と『うー』は三回、『あー』は二回」
「数えてらっしゃったんですの?」
私は、思わず噴き出した。
「面白かったので。……ところで、やっと笑いましたね」
「……え」
不意を突かれて、私は言葉に詰まった。アルベール様は、真剣な瞳で私を見つめている。
「昨夜から今までで、あなたが笑ったのは初めてだ。そりゃ、状況が状況でしたが……。でも、なるべく明るい気持ちでいた方がいいですよ。あなたは殺っていないと、俺は信じていますから」
アルベール様は、妙に確信に満ちた口調で仰った。
「昨夜、部屋の前で倒れているあなたを発見した時は、正直少し疑いました。でも、一緒に時を過ごして、わかりましたよ。あなたは、人を殺せるような人間では無いと。だから、そこは自信を持っていいと思います」
「アルベール様……」
何だか、胸が熱くなる。いいじゃないか、女性として愛されていなくても、と私は思った。彼は私を信じると言ってくれたのだ。それで十分な気がした。