転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!
第三章 窮地とプリンスの援護
1
アルベール様をお見送りして屋敷へ戻ると、廊下で義妹のローズとばったり出会った。やけにめかしこんでいる。一応喪に服している時期だというのに、その濃い化粧はどうかと思うが、忠告するのは止めにした。お父様とバルバラ様から、蝶よ花よと可愛がられて育った彼女は、たしなめるといつも逆ギレするのだ。言っても無駄、というのが正直な所である。
「ミレー家のアルベール様が、結婚の申し込みにいらしたのですって?」
ローズはなぜか、薄笑いを浮かべていた。
「ご婚約者を亡くされたと思ったら、新しい男性が現れてよかったですわね……。と、申し上げたいところですけど。残念ながら、私にはとても祝福できませんわ」
「誤解しないでちょうだい。アルベール様と結婚はしないわ」
隠蔽が成功したら、彼は私から離れていくのだから。それを見越して、私は先手を打つことにした。まあ、とローズが大げさに目を見開く。
「そのご判断、正解かもしれませんわよ……。アルベール様って、一見素敵ですけれど、お血筋的に問題がありますものね」
悔しすぎて頭が沸いたのかしら、と私はローズの顔をまじまじと見つめた。あんな由緒ある公爵家を、けなすつもりか。下手をすれば、不敬罪だというのに。
「あらお義姉様、ご存じなかったんですの? そのお顔は」
いっそう可笑しそうに、ローズが笑う。
「アルベール様は、ミレー公爵ご夫妻のお子ではありませんのよ。遠縁の子供を引き取った、などと公爵は仰っているようですけれど……。さあ、どうやら。妾腹の子、という噂もありますわ」
初耳だった。
「ミレー家のアルベール様が、結婚の申し込みにいらしたのですって?」
ローズはなぜか、薄笑いを浮かべていた。
「ご婚約者を亡くされたと思ったら、新しい男性が現れてよかったですわね……。と、申し上げたいところですけど。残念ながら、私にはとても祝福できませんわ」
「誤解しないでちょうだい。アルベール様と結婚はしないわ」
隠蔽が成功したら、彼は私から離れていくのだから。それを見越して、私は先手を打つことにした。まあ、とローズが大げさに目を見開く。
「そのご判断、正解かもしれませんわよ……。アルベール様って、一見素敵ですけれど、お血筋的に問題がありますものね」
悔しすぎて頭が沸いたのかしら、と私はローズの顔をまじまじと見つめた。あんな由緒ある公爵家を、けなすつもりか。下手をすれば、不敬罪だというのに。
「あらお義姉様、ご存じなかったんですの? そのお顔は」
いっそう可笑しそうに、ローズが笑う。
「アルベール様は、ミレー公爵ご夫妻のお子ではありませんのよ。遠縁の子供を引き取った、などと公爵は仰っているようですけれど……。さあ、どうやら。妾腹の子、という噂もありますわ」
初耳だった。