転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!
9
パーティーは、大盛況のうちに終了となった。帰りの馬車に乗り込むと、アルベール様が尋ねてこられた。
「そういえば、デュポン侯爵と話し込まれていましたね。一体、何だったのです?」
気が付いておられたのか、と私は驚いた。とはいえ、助手の話をすれば、私が機会を逃したと、彼は気にされるだろう。私はとっさに、その件を伏せることにした。
「植物について、いろいろお話ししていただけですわ」
「……そうですか」
アルベール様は、なぜかちょっと寂しそうなお顔をされた。
「……いえ。あなたと共通の話題で盛り上がれるなんて、羨ましくて。妬けました」
とんでもない方向に彼の考えが及んだことに、私は仰天した。
「何を仰っているんです? デュポン侯爵は、六十五歳でいらっしゃいますのよ。下手をすれば、私の祖父のような年齢ですわ」
「何歳だろうが、男性は男性でしょう」
アルベール様が、口を尖らせる。私は、何だか可笑しくなった。私はコレットに軽く嫉妬したけれど、彼はもっとくだらないヤキモチを焼いていたなんて。知らず、微笑を浮かべていたらしい。アルベール様が、怪訝そうにされる。
「何がおかしいのです?」
「いーえ、別に?」
「気になるなあ」
アルベール様が私の手を握り、顔をのぞきこもうとされる。だがその時、大きな咳払いが聞こえた。
(そうだった。ミレー夫妻も、ご一緒なのだったわ……)
我に返った私たちは、はたと赤面したのだった。
やがて、ミレー邸へと到着する。私たちが玄関へ足を踏み入れると、なぜかエミールが立ち尽くしていた。その表情は悲壮で、私たちは怪訝に思った。
「父様、母様」
彼は、ミレー夫妻をキッと見すえた。
「お聞きしたいことがあります。僕は、父様と母様の子供ではないのですか」
「そういえば、デュポン侯爵と話し込まれていましたね。一体、何だったのです?」
気が付いておられたのか、と私は驚いた。とはいえ、助手の話をすれば、私が機会を逃したと、彼は気にされるだろう。私はとっさに、その件を伏せることにした。
「植物について、いろいろお話ししていただけですわ」
「……そうですか」
アルベール様は、なぜかちょっと寂しそうなお顔をされた。
「……いえ。あなたと共通の話題で盛り上がれるなんて、羨ましくて。妬けました」
とんでもない方向に彼の考えが及んだことに、私は仰天した。
「何を仰っているんです? デュポン侯爵は、六十五歳でいらっしゃいますのよ。下手をすれば、私の祖父のような年齢ですわ」
「何歳だろうが、男性は男性でしょう」
アルベール様が、口を尖らせる。私は、何だか可笑しくなった。私はコレットに軽く嫉妬したけれど、彼はもっとくだらないヤキモチを焼いていたなんて。知らず、微笑を浮かべていたらしい。アルベール様が、怪訝そうにされる。
「何がおかしいのです?」
「いーえ、別に?」
「気になるなあ」
アルベール様が私の手を握り、顔をのぞきこもうとされる。だがその時、大きな咳払いが聞こえた。
(そうだった。ミレー夫妻も、ご一緒なのだったわ……)
我に返った私たちは、はたと赤面したのだった。
やがて、ミレー邸へと到着する。私たちが玄関へ足を踏み入れると、なぜかエミールが立ち尽くしていた。その表情は悲壮で、私たちは怪訝に思った。
「父様、母様」
彼は、ミレー夫妻をキッと見すえた。
「お聞きしたいことがあります。僕は、父様と母様の子供ではないのですか」