転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!

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「……突然、何を言い出すのだ、エミール」



 一瞬絶句された後、ミレー公爵はにこやかにそう仰った。



「今回のアルベールのことで、邪推したか? だが安心せよ。お前は、確かに私たちの……」

「これを見たのです」



 エミールは、古びた封筒を懐から取り出した。そのとたん、アルベール様は血相を変えられた。



「――お前!! それを勝手に見たのか!」

「兄様が、チェストの引き出しの中を、見られたくなさそうだったから」



 気まずそうに、エミールが答える。



「てっきり、いやらし……興味深い書物でも隠してらっしゃるのかと、気になったんです。今日は、四人ともご不在でしょう? それでその隙に、こっそり見たのです。鍵は、この前兄様が鎮痛剤で眠ってらっしゃる隙に、くすねました」



 アルベール様が、呆れ顔になる。



「だけど俺は、あの後念のため、隠し場所を変えたはずだぞ? もしや、部屋中漁ったのか!」

「……すみません」



 エミールがうなだれる。ミレー公爵は、アルベール様に尋ねられた。



「一体、何だというのだ?」

「私が十三の年に、テレザ嬢がこの屋敷へ来られたことがあったでしょう。その後、彼女から私宛に礼状が来たのですよ。隠していたのですが……」



 アルベール様は、エミールから封筒を受け取ると、中から便せんを取りだした。夫妻と私に向かって、広げて見せる。手紙には、こう綴られていた。



『親愛なるアルベール様。



 先日はありがとうございました。我が子を手放した私に、そんな資格は無いとわかっているのですが、一目エミールを見ることができて嬉しかったです。



 あの子がミレーご夫妻にすっかり懐いてくれていて、安心しました。まるで、実の親子のようですわね。そしてアルベール様、あなたにも。良きご両親と良き兄上に恵まれて、あの子は幸せ者ですわ。



 どうぞ、末永くエミールをよろしくお願いいたします。  



テレザ』



 エミールが、おそるおそるといった様子で尋ねる。



「このテレザという人が、僕の本当の母様なのですか」



 ミレー夫妻は、顔を見合わせた後、頷かれた。



「……その通りだ。今まで隠していて、すまなかった……」



 間髪入れずに、エミールが尋ねる。



「では、父様は?」

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