転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!
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「これは、確かな筋からの話ですのよ」
念を押すように、ローズが言う。私は、アルベール様のお母様のお顔を思い浮かべた。確かに、髪や目の色は、アルベール様とは異なる。それだけでなく、お顔立ちもあまり似ていらっしゃらないけれど……。
「そういう噂を、軽々しくするものではないわよ。それに、仮に本当だとしても、アルベール様の人格に関係があって?」
キッとにらんでも、ローズに怯む気配は無かった。
「そうかしら。私なら、耐えられませんわあ。どこの馬の骨とも知れぬ女が、産んだ男性なんて。卑しい女だったらどうするのです? 血は争えない、というではありませんか」
「ローズ、いい加減に……」
「案外、アルベール様だったりして。お二人を殺したのって」
何を言い出すのだ、と私は唖然とした。
「お義姉様をお好きなら、その婚約者は憎くて当然でしょう? カッとなって、卑しい本性が現れたのかも……」
頭に、血が上るのを感じた。よりによって、何てことを……。そもそも私とアルベール様の仲は偽装なのだから、その動機は成り立たない。白状するわけにはいかないが、その発言を見過ごすことも、もちろんできなかった。
「言っていいことと悪いことがあるわよ!」
思わず私は、右手を振りかざしていた。だが、頬を張り飛ばそうとしたその手は、届かなかった。ローズが、すばしっこく避けたのだ。
「ああ、そうそう。すっかりお伝えし忘れていましたわ。今、応接間に、弔問のお客様がお見えですの。……マルク殿下と、ドニ殿下ですわ」
ぎょっとした。現国王・ジョゼフ五世陛下のご長男と、ご次男ではないか。
「それを早く言いなさい!」
私はドレスの裾を翻して、応接間へと走ったのだった。
念を押すように、ローズが言う。私は、アルベール様のお母様のお顔を思い浮かべた。確かに、髪や目の色は、アルベール様とは異なる。それだけでなく、お顔立ちもあまり似ていらっしゃらないけれど……。
「そういう噂を、軽々しくするものではないわよ。それに、仮に本当だとしても、アルベール様の人格に関係があって?」
キッとにらんでも、ローズに怯む気配は無かった。
「そうかしら。私なら、耐えられませんわあ。どこの馬の骨とも知れぬ女が、産んだ男性なんて。卑しい女だったらどうするのです? 血は争えない、というではありませんか」
「ローズ、いい加減に……」
「案外、アルベール様だったりして。お二人を殺したのって」
何を言い出すのだ、と私は唖然とした。
「お義姉様をお好きなら、その婚約者は憎くて当然でしょう? カッとなって、卑しい本性が現れたのかも……」
頭に、血が上るのを感じた。よりによって、何てことを……。そもそも私とアルベール様の仲は偽装なのだから、その動機は成り立たない。白状するわけにはいかないが、その発言を見過ごすことも、もちろんできなかった。
「言っていいことと悪いことがあるわよ!」
思わず私は、右手を振りかざしていた。だが、頬を張り飛ばそうとしたその手は、届かなかった。ローズが、すばしっこく避けたのだ。
「ああ、そうそう。すっかりお伝えし忘れていましたわ。今、応接間に、弔問のお客様がお見えですの。……マルク殿下と、ドニ殿下ですわ」
ぎょっとした。現国王・ジョゼフ五世陛下のご長男と、ご次男ではないか。
「それを早く言いなさい!」
私はドレスの裾を翻して、応接間へと走ったのだった。