転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!

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「どうぞ、心ゆくまで調査なさってくださいませ。それで犯人が捕まることを、心より願っておりますわ。……さあ、どうぞおかけくださいませ」



 お二人にソファを勧めながら、私は素早く頭を巡らせた。大丈夫だ、あの部屋は、アルベール様と二人で十分チェックした。物盗りの仕業らしき痕跡以外、何も残っていないはずだ。



 モンタギュー侯爵は、軽く片眉を吊り上げたが、黙って腰かけられた。ドニ殿下も、お隣に座られる。



「ではモニク嬢、早速ですが。パーティーの夜、あなたは途中で姿を消された。どこで、何をされていたのです?」

「こちらのアルベール様と、自室で会っていたのですわ。彼とは、ずっと想い合っておりました。いけないことと理解はしておりましたが、他の方に嫁ぐ前に、最後のお別れをしたかったのです」



 アルベール様との打ち合わせ通りに、私は語った。



「では、殺人事件については何も知らなかったと?」

「はい。侍女たちに見つかって、しまったなあと思っていたところ、何やら騒ぎが聞こえて。お二人が殺されたと知って、驚きましたわ」



 疑わしそうな顔つきのまま、モンタギュー侯爵は、今度はアルベール様の方を見た。



「アルベール殿。ぶしつけな質問をさせていただくが、一体モニク嬢とは、いつからのお付き合いです? 私はもちろん、騎士団の他の者に尋ねても、お二人の仲を知る者はいなかったのですが」



 アルベール様はモンタギュー侯爵からすれば、上司の息子にあたる。やや遠慮しながらも、侯爵はズバリと尋ねられた。アルベール様が、あっさりと答えられる。



「もう三ヶ月になりますか。目立つのが嫌いというモニク嬢のご性格を考慮して、あえてひっそりと交際していたのです。それに私は若造で、騎士としてもまだ未熟者。年上のレディに言い寄るなど、身の程知らずと思われそうで。それもあり、周囲には秘密にしておりました」



 そこへ、ドニ殿下が口を挟まれた。



「お二人は、お互いのどんな所がお好きなのです?」
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